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2020年12月に東京都市大学 高木直行教授の研究室の学生6名が柏崎刈羽原子力発電所を視察しました。 視察後は日本エネルギー経済研究所 木村謙仁さんのコーディネートのもと、柏崎エネルギーフォーラムの方々と原子力発電所の再稼働をテーマにディスカッションしました。
柏崎刈羽原子力発電所を視察した感想、関心のある分野
核燃料サイクルやMOX燃料に関心がある。発電所を視察して、緊急時の対応訓練をしているこなどを聞いて安心した。市長が6、7号機を再稼働する代わりに一部廃炉を提案していることが地域の方にどう思われるのかが気になる。
発電所を視察する機会がないので感動した。原子力はすごい技術だが、世間からの風当たりが強く、廃れてしまうのか。 経済性にも興味がある。火力発電に比べてコストが大きく思えて不安視している。
原子炉の仕組みや構造、設計に興味がある。視察をして、津波対策である堤防が巨大だと感じた。写真で見るとそこまで大きくは感じないが、実際見ると想像以上に大きくて、十分に対策されているのではないかと考えが改まった。
ディスカッション:柏崎刈羽原子力発電所を再稼働するべきか?
再稼働すべきだと思う。成長している中国が最近建設した原子力発電所より、日本がこれまでに建設した原子力発電所の方が技術的に勝っている。資源がない日本で、このままでは中国に技術まで追い抜かれてしまう。技術の継承・発展のために動かさなければならないと思う。
原子力発電所は心理的になくしてほしいという声があるのは当然だと思う。しかし、技術の継承や、経済性を考えると、カーボンニュートラルにするには原子力は必要だと思う。古い発電所をなくすのではなく、まず既存の発電所を使い、カーボンニュートラルといった目標に進めばよい。それから廃止や建設について考えればいいと思う。現時点では再稼働すべきだと思う。
いまは懐疑的で、6:4くらいの割合で賛成だが、自然エネルギーとのミックスが良いと思う。日本の文化としての原子力という考え方はあるかもしれないが、エンジニアの主観で原子力を語ってはいけないと思う。不慮の事故が起こらないことや健康被害など安全の話が大事だと思う。エンジニアが安全を訴えても何か起こったら被害を受けるのは地元の方。地域の住民と誠実な話し合いを行ない、合意したら再稼働すればよい。カーボンニュートラルに原子力は有効だが、地層処分はしっかりと考えなければならない。時代に合わせてエネルギーを生み出す手段を変えていくことが大切。
日本の原子力発電所は事故以降、動かない状況だが、CO2を出す火力に依存し続けていても日本のエネルギーに未来はあるのだろうかと思う。一歩進めるためにも再稼働すべきだと思う。
柏崎エネルギーフォーラムのみなさまへの質問
Q.地元で働いている人はたくさんいると聞いたが、地元の働き口として原子力発電所はどのような存在でしょうか。
A.地元の人は東京電力だけでなく東芝や日立で働く人もいるが、6.000人ぐらいが登録されている。しかし、雇用はお弁当屋さんや食堂など枝葉のように広がっている。どれくらいいるのかははっきりとはわからない。また雇用だけでなく、発電所に関連した税収は市の財政を支えている。
Q.青森県六ケ所村で市民の方とお話ししたことがある。六ヶ所村では小学校で霧箱の実験をしたりして放射線の理解を深めていると聞いた。柏崎刈羽原子力発電所の立地地域では、一般の人や学生のための会は実施されているか。
A.子供たちは原子力発電所がここにあることは知っているが、発電所については報道されるニュースや学校の授業くらいでしか知らない。エネルギー教育や原子力に対する教育は不足しているかなと思う。地域の人が原子力について何から情報を得ているかというと、東京電力のチラシや市の広報になる。そういった情報は見る人しか見ない。どのように若い世代に放射線などについて伝えるかという課題がある。
コーディネーター木村さんの総括
日本エネルギー経済研究所 木村謙仁氏
ひとりの発言をみなさんがどんどん広げていく繰り返しで、とてもよいディスカッションだった。原子力は大きな技術で、立場によって見え方は全く違ってくる。そういう大きな技術を前に進めるにはいろいろな立場の人が議論をしていかなければいけない。今日のような場に今後も参加して、議論を続けていければよいと思う。