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なぜ、「エネルギーミックス」が必要なの?


ニュースがわかるトピックス

2015年11月12日


日本では東日本大震災以降、原子力発電所の運転停止にともない、エネルギー自給率※が震災前の約20%から約6%へ落ち込みました。また、火力発電所の利用が増えたことにより、CO2の排出量が増えています。これらの改善が今後の重要な課題です。さらに、家庭や産業界で大きな負担となっている電気料金の上昇を抑えることも、経済成長をするうえで欠かせない課題となっています。


エネルギーミックスは、電気などのエネルギーを安定して、経済的に確保し、なおかつ地球環境への影響を抑えていくうえで重要な目安となるものです。東日本大震災前も、こうした観点からバランスよくエネルギー資源を使って発電をしていましたが、福島第一原子力発電所の事故を受けて、電源構成は大きく変わりました。2010年と2013年を比べると、石炭火力25.0%→30.3%、LNG火力29.3%→43.2%、石油等火力7.5%→14.9%、原子力28.6%→1.0%などとなっています。


そして、こうした変化とともに、原子力発電に対する懸念(安全性)、電力の供給不安の拡大(安定供給)、国富の流出や電気料金の上昇(経済効率)、CO2排出量の急増(環境適合)などの課題が顕在化しました。例えば、現在は長期間止まっていた火力発電所も使われていますが、特に古い火力発電所では計画外の停止件数が2年間で1.7倍に増えるなど、電力供給が不安定になっています。


また、原子力発電の停止にともない、火力発電が増え、燃料代が年間に約3.7兆円増加しているため国富の流出や電気料金の上昇が起こっています。

さらに、多くの化石燃料を燃やすことでCO2の排出量が増えているのです。


下の表は、電源構成によってCO2排出量や電力コストがどう変わるかを整理したものです。傾向としては、再生可能エネルギーを増やせば電力コストが上がり、石炭やLNGを増やせばCO2排出量が増えることがわかります。


さらに、世界では大幅なエネルギー需要増にともないエネルギー資源の獲得競争が始まっています。日本が多くの石油やLNGを輸入している中東は過激派組織の台頭などで不安定さが増し、タンカーが通る海路では中国による領有権争いが起こるといった問題も出てきています。


新しいエネルギーミックスは、こうした国内外の情勢や各電源の特性などを考慮して策定されました。原子力については、「安全性」を向上させて活用を図りつつ、依存度は可能な限り下げることとし、よりよい「安定供給」や「経済効率」、「環境適合」の実現をめざし、将来の見通しを示しています。



トピックス図055

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