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環境省が2018年度の温室効果ガスの排出量を発表しました。2018年度の温室効果ガスの総排出量は12億4,000万トンで、前年度比3.9%減。減少要因は、電力の低炭素化や、省エネ等で、具体的には、原子力発電所の再稼働や再生可能エネルギーの普及で火力発電の割合が減ったことや、家庭や企業で省エネが進んだことなどが挙げられています。

環境省:2018年度(平成30年度)の温室効果ガス排出量(確報値)について

それでは、電力の低炭素化や省エネと温室効果ガス減少の関係は?日本の長期目標「2050年までに80%削減」は達成できるのでしょうか?

以下、冊子『私たちの暮らしを守るために~地球温暖化防止から見る将来のエネルギー~』(一般財団法人 日本原子力文化財団)より抜粋



■「2050年までに80%削減」が日本の目標


一国だけの努力では、“焼け石に水”

中国、アメリカ、EU(欧州)、インド、ロシア、日本で、世界全体のCO2排出量の7割弱を占めています。先進国からも、途上国からも、大量のCO2が出ています。このため、地球温暖化を防止するには、世界全体で取り組みを進める必要があります。

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1997年に気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP3)で採択された「京都議定書」では、日本などの主な先進国だけに温室効果ガス削減の数値目標の設定が義務化され、途上国は除外されました。これは、先進国は「これから経済成長をする途上国にCO2の大幅な削減をしてほしい」、途上国は「これまでに大量のCO2を出してきた先進国が厳しい目標で進めるべきだ」と、意見が割れたためです。
その後、世界全体が参加できる枠組みをつくる努力が続けられ、削減義務を設けず、それぞれの国が基準年を自由に決めて自主的な目標を設定することとし、2015年12月に開催された第21回締約国会議(COP21)において、「パリ協定」が採択されました。
この協定は、途上国も含む189の国と地域(※)が参加、締結する画期的な枠組みで、「産業革命前からの世界の平均気温の上昇を2℃未満に抑え、可能なら1.5℃未満に収める努力をしていく」ことを目標としています。

(※)UNFCCCホームページ(2020年2月末現在)
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■ポイントは、家庭などの電化と発電の低炭素化


求められるのは、大幅な“ダイエット”

平均気温の上昇を2℃未満に抑えるためには、2050年に世界全体の温室効果ガスの排出量を2010年と比べて40~70%削減する必要があり、2100年には排出量をゼロ、またはマイナスにする必要があるとされています。(※)
日本では、地球温暖化対策を総合的かつ計画的に進めていくこととし、2019年6月に「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」(以下、長期戦略)を閣議決定しました。中期的な目標として、2030年度に2013年度と比べて温室効果ガスを26%削減することを掲げています。日本の2013年度の排出量は14.1億トンで、これを10.4億トン程度まで減らすことが目標です。
また、長期的な目標としては、2050年までに80%削減することを掲げ、最終的なゴールとして「脱炭素社会」の実現をめざしています。

※IPCC第5次評価報告書

電気の利用は、温暖化防止の“強い味方”

IHクッキングヒーターやヒートポンプ式の給湯器など、家庭での電化製品の利用が増えています。電気自動車の普及も進み始めました。実は、こうした電化は地球温暖化の防止に役立ちます。ガスやガソリンなどを燃やすとCO2が排出されますが、電気を利用するときにはCO2が出ないためです。また、ヒートポンプ式のエアコンや給湯器は、使ったエネルギー(電気)の約3~6倍の熱エネルギーをつくり出すことができます。つまり、電化には省エネルギー(以下、省エネ)と省CO2、二つの効果があるのです。
ただし、電気をつくるときにはCO2が排出されるため、できるだけCO2の排出量が少ない発電方法を使っていく必要があります。


“燃やす”発電と、“燃やさない”発電

電気をつくる方法には、石油や石炭、天然ガスなどの化石燃料を燃やす火力発電、水力や太陽光、風力といった再生可能エネルギー(以下、再エネ)による発電、原子力発電などがあります。日本では、これまで原子力やLNGの利用拡大を進め、電気をつくるときに出るCO2を減らしてきました。最近では太陽光を中心に再エネも急速に増やしています。
なぜなら、再エネや原子力は、電気をつくるときにCO2を出さず、LNGは化石燃料の中でも比較的CO2の排出が少ないためです。
しかし、日本では、2011年3月に起きた福島第一原子力発電所の事故後、安全点検などのために全国の原子力発電所の運転を止め、火力による発電を増やしました。
全発電量に占める火力発電の割合は、2010年度の65.4%から2014年度には87.4%に増え、CO2の排出量も増加しました。
現在、発電などによるCO2の排出量は、日本全体の約4割を占めるまでになっています。

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これからのキーワードは、“ゼロエミッション”

廃棄物がゼロであることを「ゼロエミッション」といい、電気をつくるときにCO2を出さない再エネと原子力のことを「ゼロエミッション電源」と呼んでいます。日本が、長期戦略で掲げたCO2などの温室効果ガス削減の目標を達成するには、このゼロエミッション電源の活用が重要なカギを握っています。
2017年度の電力化率は、全体で約26%、家庭で約50%となっています。CO2排出量を大幅に削減するためには、ゼロエミッション電源を増やすことと同時に、家庭や運輸、産業などあらゆる分野で一層の電化を進める必要があります。


参考:冊子『私たちの暮らしを守るために~地球温暖化防止から見る将来のエネルギー~』

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