コラム

世界のエネルギー事情

フランスのエネルギー事情はどうなっているの?

フランスのエネルギー事情はどうなっているの?

2024年6月18日


フランスは、日本と同様に石油、天然ガスなどの化石燃料に恵まれず、1973年のオイルショックを契機として原子力の開発が進められ、現在では、発電電力量に占める原子力の割合は6割を超えています。エネルギー自給率も現在では50%以上に達し、温室効果ガスの排出量も大幅に抑えられています。
フランスでは再生可能エネルギー開発にも取り組んでおり、2009年「EU再エネ利用促進指令」によって2020年までに最終エネルギー消費量の23%を再エネで賄うことが義務付けられました。更に2015年「エネルギー移行法」により、2030年にエネルギーで32%、発電で40%を再エネで賄うことがうたわれ、マクロン政権はこの目標を達成するため、翌2016年に、「エネルギー多年度計画」を制定しました。
再エネについて、2030年までに陸上風力2,180万~2,600万kW、太陽光1,820万~2,020万kWを導入する目標が示され、2020年末現在、再エネ電源は水力発電と合わせると5,591万kWと、総発電設備の41%に達しています。2020年の「エネルギー多年度計画」では、原子力発電はCO2を排出しない非化石エネルギーとして重要電源と位置付けられていますが、ウラン燃料を使用するので、再生可能エネルギーとは見なされず、放射性廃棄物問題と原子力への高い依存度による電力システムの耐久性の課題を改善するために、2035年までに発電電力量における原子力発電の割合を50%まで引き下げる方針が示されました。
しかしながら2022年にマクロン大統領は、温室効果ガス削減とエネルギー自立のために、①既存炉は、安全性が維持される限り運転を継続、②2050年までに原子炉6基の新規建設し、さらに8基追加を検討、③小型モジュール炉(SMR)を2030年までに建設、これらの施策を通じて、2050年までに原子力設備容量を2,500万kW増強すると発表しました。
ヨーロッパは送電網やガスのパイプラインが張り巡らされていて、各国でエネルギーを融通することが可能です。フランスが発電した電気は、イタリア、スイス、イギリス、スペインなどにも輸出され、フランス国内だけでなくEU諸国の電気の安定供給に貢献しています。



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参考;海外電力調査会 海外電力事業統計2022 フランス


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