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【お仕事コラム】ミライを切り拓く!原子力のお仕事インタビュー

掲載日:2024.3.15

お仕事コラムとは?

中高生の方々に向けて、原子力や放射線に関連する業界やお仕事について、より深い興味・関心・理解を得られるような情報を提供することを目的とした、お仕事紹介インタビューです!


第4回のインタビューは「日立GEニュークリア・エナジー株式会社の高桑茉由さん!!」


お仕事紹介(何のお仕事をしていますか?)

私は、東京電力ホールディングス福島第一原子力発電所の廃炉に関するお仕事をしています。廃炉とは、運転の終了した原子力発電所を解体・撤去する作業のことです。その中で、汚染水処理や廃棄物処理に係わる業務を担当しています。
具体的には、原子力発電所内で発生した汚染水から放射性物質を取り除く「浄化」する設備で使った、使用済みのフィルターを保管するための容器を、なるべく小さくする検討をしたり、保管する容器の安全性を評価したりしています。


やりがいを感じるのはどんな時ですか?

自分の仕事が、原子力発電所の廃炉という大きなプロジェクトの一端を担っていると感じる時ですね。
普段は、お仕事の中で廃炉や復興に携わっていることを大きく実感することはないのですが、テレビや新聞で福島第一原子力発電所の報道があると、大きな仕事の中にいることを実感します。


原子力の分野に興味を持ったきっかけを教えてください。

最初に原子力に興味を持ったのは、高校に入学する前に東日本大震災を経験したことがきっかけです。私は当時茨城県に住んでいて、地震の直後は自分のことを被災者と思っていたのですが、停電が復旧してテレビを見ると、福島の方々は地震や津波に加えて、放射性物質・放射線の不安とも向き合わなくてはならない状況であることを知りました。
「これは大変なことだ」と思い、自分よりも大変な被害を受けている福島の方々の役に立ちたい、復興に携わりたいと考えたんです。それで、福島第一原子力発電所に関するお仕事にも興味を持つようになりました。


大学進学の際は、原子力に関する学部を選択されましたか?

福島復興に携わりたい、原子力の道に進みたいと考えていたものの、実は高校・大学は原子力と関係のない勉強をしていました(笑)。
大学進学時は原子力学科を選択しようと思っていたのですが、具体的に何をどうしていいのかわからなくて。「放射性物質・放射線の不安をぬぐいたい」と漠然と考えていただけで、発電所に興味があるわけでもなく、どうすればいいのか考えた結果、とりあえず化学を勉強してみました。
すると、化学がとても好きになってしまいまして。化学って、パズルのような感覚で問題を解いていくんですよね。原子の結合の様子を示す「構造式」がつながったり切れたりすることで別の形になって、異なる物質になるというのがパズルのようで楽しくて。
そうして大学院の2年生になり、このまま研究を続けるのか、就職するのかを考えた時に「私は研究で追求していくよりも企業で働く方が向いているな」と感じて就職を選択し、そこから原子力の道に大きく舵を切りました



小さい頃の夢を教えてください。

幼いころから環境問題に貢献したいと考えていました。テレビで地球温暖化によって北極にいる動物たちの生活環境が脅かされているというのを見て、人間のしていることで動物 の生活に影響を与えちゃいけないって、幼心に感じたんですよね。それが小学校中学年くらいだったと思います。
地球温暖化問題をどういう形で解決するのかを考えて、将来はマスメディアで地球温暖化対策について訴える人や、政治家、あるいは研究者という道もあると、さまざまな可能性を夢見ていました。中でも、ノーベル賞へのあこがれもあって研究者をめざしたいと強く思ったことを覚えています。
高校時代からは、父に教えてもらった「全国七大学総合体育大会」にあこがれて、大学の4年間はほとんど毎日部活(バドミントン)に熱中していました。



今のお仕事に就いていなかったら、どんなお仕事をしていたと思いますか?

研究者か、もしくはクリエイターだったかもしれません。小中学生の頃から研究者にあこがれていたので、まず何らかの研究者になっていたでしょう。
もう一つ、私は絵をかいたり曲を作ったり、クリエイティブなことが好きなんですよね。原子力や研究者の道に興味がなかったとしたら、小説家やイラストレーターになっていたかもしれません。


産休・育休から復帰した先輩(画像内左)と談話室にて会話する高桑さん(画像内右)


最後に学生さんにメッセージをお願いします。

振り返れば、私は学生時代に「受験のための勉強」に一生懸命になりすぎていたような気がします。勉強だけではなくて、時事問題や根拠に基づいた正しい情報を収集する方法など、学生時代から一般的なものごとについても興味を持っていればと感じることがあります。
加えて、コミュニケーション能力を磨くことも大切です。お仕事をするようになって、「人に聞くスキル」が重要だと感じる場面が多々ありました。何がわからないのかを理解して、それについて詳しい人を見つけ、その人に自分の疑問が正しく伝わるように聞くことで、お仕事を進めていけます。この能力は、学生時代にも必要なものだと思うので、ぜひコミュニケーション能力を高めてほしいと思います。




(今回のインタビューのまとめ)
インタビュー中、絶え間ない笑顔で明るく話される高桑さん。
幼いころから地球環境に興味を持ち、福島復興に役立ちたいという高桑さんの優しさと、
仕事への情熱が感じられるインタビューでした。






ライタープロフィール

高橋 みゆき/1983年生まれ。ライター・編集者。各種民間保険、介護、医療、ITなど幅広いジャンルの記事を企画・執筆。


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