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【お仕事コラム】ミライを切り拓く!原子力のお仕事インタビュー 第8回

掲載日:2025.3.19

お仕事コラムとは?

中高生の方々に向けて、原子力や放射線に関連する業界やお仕事について、より深い興味・関心・理解を得られるような情報を提供することを目的とした、お仕事紹介インタビューです!
今回はインタビュアーとして、東京学芸大学附属国際中等教育学校の皆さんにご協力いただきました。



広原 圭太郎さん(中央)と東京学芸大学附属国際中等教育学校の皆さん


第8回のインタビューは「原子力発電環境整備機構(NUMO)の広原 圭太郎さん!」

原子力発電環境整備機構(以下、NUMO)は、原子力発電で使い終えた燃料を再処理 1 したあとに残る高レベル放射性廃棄物を、安全に地下深部に処分(地層処分)するための活動をしています。


広原さん&マスコットキャラクターのグーモくん


お仕事紹介(何のお仕事をされていますか?)

私の所属するメディア広報・企画グループでは、全国や調査地域におけるメディアやホームページなどを活用した広報活動を行っており、私は主にLINEやYahoo!など様々なWEB媒体を通じたバナー広告・動画広告の出稿やNUMO公式Instagramの運用を担当しています。地層処分事業は技術的な説明とセットで発信することが多く、難しい内容だからこそ、できるだけ親しみやすく、わかりやすく伝え、知ってもらうことが重要です。例えば、InstagramではNUMOキャラクターのグーモくんを使った投稿やかわいいイラスト、リール動画といった短い動画の活用など、地層処分を知らない方にも関心を持ってもらえるような工夫をしています。


地層処分とはなんですか?



原子力発電で使い終えた燃料のうち約95%は再処理の工程を経て再利用できるのですが、残りの約5%は高レベル放射性廃棄物になります。高レベル放射性廃棄物をガラスと混ぜて固めたもの(ガラス固化体)を地下深くの安定した岩盤に埋めて処分する取り組みが、地層処分と呼ばれるものです。日本では原子力発電をはじめる前から処分方法の検討が行われていたほか、国際的にも様々な処分方法が検討されており、今では地層処分は現時点で最も安全で実現可能な処分方法であるとの認識が、世界各国の共通した考え方となっています。地層処分なら、地下深くに埋めることで人の生活環境から隔離できますし、地下深くの岩盤の安定した性質を利用して放射性物質をしっかりと閉じ込めることができます。北欧のフィンランドではすでに、地層処分場が建設されており、試験操業が開始されています。


【処分方法の例】



どうして原子力発電環境整備機構で働こうと思ったのですか?

高レベル放射性廃棄物の地層処分は、私たちが電気を使っていく以上、必要不可欠な課題です。みんなが知るべきことなのに、多くの人が知らないという状況を変えたいと思いました。広く地層処分について知っていただくために広報担当を希望し、今に至ります。


学生の皆さんからの質問に対し、丁寧に回答する広原さん


学生のころから原子力や地層処分に興味をお持ちだったのでしょうか?

正直なところ、大学に入学した当初は、原子力や地層処分について考えたことはありませんでした。 私は、大学では異文化コミュニケーションを学んでいて、語学や留学に興味を持っていたのですが、大学2年生のときにNUMOが主催するイベントにたまたま参加する機会がありました。地層処分のことを知ったのはそのときが初めてです。毎日電気を使っているのに、地層処分の問題を知らない自分を恥ずかしく思いました。さらに、周りの友人に地層処分について聞いても誰も知らず、そんな状況を変えなくてはと思いました。


学校の授業では詳しく勉強したことがないのですが、学生も地層処分について知っておいた方がいいでしょうか?

地層処分の実現には、日本全国の皆さまに地層処分事業に関心を持っていただき、社会全体の課題として全国的な議論を広げることが必要です。学生のころから地層処分に少しでも興味を持っておけば、将来、議論を求められたときでも自分事として主体的に参加することができると思います。地層処分は、私たちが電気を使うことと密接に関連する課題なので、みんなで考えていきたいですね。



NUMOには文系の人も理系の人もいるのですか?

調査や分析を担当している技術部は理系の職員が多く、広報部や総務部、地域交流部は文系の職員が多い印象です。地域交流部という部署は地層処分の調査受け入れ地域の住民の方と密に協力し、皆さまと地域をより良くするための話し合いの実施や、地層処分事業に関する質疑応答などを主な業務としています。


広報活動を行う上で大切にしていることは何ですか?

NUMOが取り組む内容は難しい内容だからこそ、まず興味を持ってもらえる広告を作るようにしています。どのような媒体に載せるかにもよりますが、例えば動画広告ですと、長い時間の動画では見てもらえない可能性が高いので、正しい情報をいかに短く伝えるかを意識して制作しています。さらに、広告が掲載される媒体によって適した内容が違うので、表現方法などを見直し、細かく作り変えています。



最後に学生さんにメッセージをお願いします。

今後、GXの実現に向けて原子力発電を脱炭素電源として最大限活用していくこととされています。既にある高レベル放射性廃棄物に加えて、これからも電気を使っていく上で発生する高レベル放射性廃棄物の課題は私たちの世代で解決に向けた道筋をつけ、次の世代に負担をかけないようにしなくてはいけません。まずは、一人ひとりが自分に何ができるのか考えていただきたいと思っています。




(今回のインタビューのまとめ)
NUMOが主催するイベントがきっかけとなり、地層処分に興味を持ち、その普及のために原子力の世界に飛び込んだ広原さん。私たちの世代が原子力発電を利用することで発生する高レベル放射性廃棄物の課題を後世に残さないためにと、広報活動に熱心に取り組む姿が印象的なインタビューでした。



ライタープロフィール

巌 朋江/フリーライター。農学博士。理系ジャンルの文章を中心に執筆。


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1 原子力発電所の使用済燃料から、再利用できるウランとプルトニウムを取り出すこと。



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