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【お仕事コラム】ミライを切り拓く!原子力のお仕事インタビュー 第9回
お仕事コラムとは?
中高生の方々に向けて、原子力や放射線に関連する業界やお仕事について、より深い興味・関心・理解を得られるような情報を提供することを目的とした、お仕事紹介インタビューです!
今回はインタビュアーとして、市立札幌開成中等教育学校の皆さんにご協力いただきました。

菅野麻美さんと市立札幌開成中等教育学校の皆さん
第9回のインタビューは「東邦大学医療センター大森病院の菅野麻美さん!」

お仕事紹介(何のお仕事をしているの?)
私は東邦大学医療センター大森病院で診療放射線技師をしています。診療放射線技師とは、医師の指示のもと、放射線を使ってレントゲンやCT、MRIなどの画像診断を行う仕事です。また、放射線治療や核医学検査1 といった分野にも関わります。
診療放射線技師は、患者さんの病気を診断するための大切な役割を担っているので、正確で質の高い画像を提供することが求められます。また、病院だけでなく、大学や研究機関、メーカーなど、幅広い分野で活躍できる職業でもあります。
この仕事は、単に画像を撮るだけでなく、患者さんと直接関わる機会も多いです。検査中にリラックスしてもらうための声かけや、少しでも不安を和らげるための配慮が欠かせません。患者さんの健康を守るために、技術とコミュニケーションの両面が求められる仕事です。
【参考】医療用検査 X線CTとMRI(※画像クリックで図面集に遷移します)
診療放射線技師のやりがいはなんですか?
私の仕事のやりがいは、学んだ知識を活かして直接、患者さんの病気の診断や治療に貢献できることです。放射線技術は日々進化しており、新しい機器や技術が次々と登場します。常に勉強し続ける必要がありますが、それがこの仕事の面白いところでもあります。学んだ知識を活かして、患者さんに対して、より良い検査を提供できることにやりがいを感じます。
特に、患者さんが『ありがとう』と声をかけてくれるときや、検査を通じて病気の早期発見につながったときは、大きな達成感があります。また、医療の現場ではチームワークが欠かせませんが、その中で自分の技術が役立っていると感じられる瞬間がとても嬉しいです。
診療放射線技師という職業を選んだきっかけは何ですか?
私が診療放射線技師という仕事を知ったのは、中学生のときの職場体験でした。患者さんの診断から治療まで一貫して関わることができる仕事だと知り、とても魅力を感じました。
病気の発見や治療に直接関わることができるだけでなく、医療チームの一員として、医師や看護師と連携しながら働く点にも惹かれました。
また、診療放射線技師は理系の職業というイメージがありますが、実は文系の人でも目指せる職業であると知ったことも決め手です。私自身、数学は好きでしたが、物理が特別に得意なわけではありませんでした。この仕事に必要な知識は、あくまでも大学進学後にしっかりと学びさえすれば大丈夫です。
学生時代にやっておくべきことはありますか?
学生時代に大切なのは、何事も続ける習慣をつけることと、様々な人とコミュニケーションをたくさんとることだと思います。それから、日々進化し続ける技術に対応するために、勉強を続けていくことも欠かせない大切なことだと感じています。
また、診療放射線技師の仕事は様々な人と関わります。患者さんはもちろん、医師や他職種、チームのメンバーともコミュニケーションをとりながら検査を行います。しっかりと自分の意思を伝えること、本人の意思を正しく受け止めることが大切だと思います。

学生たちの質問に対し、丁寧に回答する菅野さん
診療放射線技師に求められるスキルはありますか?
この仕事で大切なのは、検査のための正確な技術はもちろんですが、それ以上にコミュニケーション能力が求められます。患者さんが不安を感じているときに、優しく声をかけ、安心して検査を受けてもらうための配慮が大切です。
また、画像診断には医療の知識と最新の技術を活かす力が必要になります。特に、人間の体の構造を知る解剖学や放射線の知識は必須ですし、機器の操作にも慣れる必要があります。やはり、学び続ける姿勢が大事ですね。
診療放射線技師という職業は今後どうなっていくと思いますか?
最近ではAIの導入が進んでおり、画像診断の分野でもAIが活用されるようになってきました。とは言っても、人の目で確認することが必要な場面も多く、診療放射線技師の役割は今後も変わらず重要です。
また、医療機器の進化によって、より高度な診断や治療が可能になっています。放射線技術は、がん治療や人が持っている自己修復力を引き出すような再生医療の分野でも注目されているので、これからさらに発展していく分野だと思います。
(今回のインタビューのまとめ)
学生の皆さんにとって、診療放射線技師と聞いても、あまり馴染みのない職業かもしれません。
しかし、今回のインタビューを通じて、診療放射線技師のやりがいや魅力について知ることができたようです。
「診療放射線技師は機械を操作する仕事だと思っていましたが、患者さんとのコミュニケーションもとても大切だとわかりました。」
「医療に関わる仕事の中で、診断から治療まで幅広く関わることができる点が魅力的でした。」
放射線技術の進化とともに、診療放射線技師の役割も広がり続けています。
これからもこの分野の発展に注目していきたいですね!
ライタープロフィール
浅野 文宏/ICT事例、医療メディアでのインタビューなど、テック系の記事を多く手掛ける。
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1 微量の放射線を出す放射性医薬品を体内に投与し、放射性医薬品が臓器や体内組織などに集まる様子を画像化する画像診断の一つ。