解説

エネルギー安全保障と中東情勢

 
イランの核開発を制限する見返りにイランの経済制裁や石油取引を緩和することが、2015年にイランとアメリカなど6か国との間で合意されました。
その後、アメリカは一方的に、この「イラン核合意」から抜け、2019年5月に、石油の全面禁輸をイランに課しました。
こうしたなか、同年6月にホルムズ海峡近くで二隻のタンカーが攻撃を受けました。
誰が、何の目的で攻撃を行ったのか不明ですが、ホルムズ海峡近辺で緊張状態が続いています。
さらに、同年9月にはサウジアラビア東部にある石油生産設備2か所がドローン機に攻撃され、これにより同国の石油生産能力の半分以上になるといわれる日量570万バレルの石油供給が停止しました。
日本ではエネルギー源の多様化を進めていますが、現在でも石油の8割以上を中東に依存しています。
天然ガスも、約2割が中東から輸入されています。このためホルムズ海峡は、日本のエネルギー安全保障上、非常に重要な場所であり、海峡の封鎖や、船舶の安全航行ができない状況が発生すれば、日本は、ガソリンや電気などの料金の上昇、それらの供給停止などの深刻な影響を受ける可能性があります。

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