解説

その他

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※音声はありません





Q 妊娠中に放射線を受けたらどうなるの?



妊娠中のどの時期に、どのくらいの量の放射線を受けたかによっても影響が違います。お腹にいる赤ちゃんの重要な器官がつくられる妊娠初期に一度に100ミリシーベルトを超える量の放射線を受けると、奇形や精神発達の遅れが出る可能性があります。この期間は、薬の服用に気をつける時期で、放射線の影響も受けやすい時期です。しかし、これらの放射線による影響は100ミリシーベルト未満の低い量では起こりません。
妊娠中や妊娠の可能性がある場合に、腹部の放射線検査や放射線治療を受ける時には、お医者さんに相談しましょう。


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出典:環境省「放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料 平成30年度版」より作成






Q 放射線を受けると、将来生まれてくる赤ちゃんにも影響があるの?



両親や、またそのどちらかが妊娠前に放射線を受けた場合に、その後に妊娠して生まれた子どもに現れる影響を遺伝性影響といいます。
これまで、原爆で放射線を受けた人たちの子ども、世界で自然放射線が高い地域に住む人、職業上放射線を受けた人などを対象に多くの調査が行われていますが、妊娠前に放射線を受けた親から生まれた子どもに遺伝性影響があったという例は、現在まで見つかっていません。









Q 放射線を受けると、がんになるの?



がんになるかどうかは、どのくらいの量の放射線を受けたかで変わってきます。
広島・長崎の原爆によって放射線を受けた人たちの調査結果では、100ミリシーベルトを超える量の放射線を受けると、がんになるリスクが高くなることがわかっています。
がんの要因は、放射線以外にもさまざまで、喫煙や飲酒、ストレスなど個人の生活習慣も関係しています。受けた放射線の量が100ミリシーベルト以下の場合では、生活習慣によって自然にがんになるリスクと比べても、区別することができないほど、がんになるリスクは低いとされています。

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※1 放射線は、広島・長崎の原爆による瞬間的な被ばくを分析したデータ(固形がんのみ)であり、長期にわたる被ばくの影響を観察したものではない。
※2 運動不足:身体活動の量が非常に少ない。
※3 野菜不足:野菜摂取量が非常に少ない。


出典:(国立研究開発法人)国立がん研究センター資料より作成






Q 食品などで取り込んだ放射性物質は、体にどんどんたまっていくの?



放射性物質は、ずっと減らずに体に蓄積していくということはありません。放射性物質は、時間の経過とともに量が減っていきます。放射性物質の量が半分になるまでの時間を「半減期」といい、この半減期は、放射性物質の種類によって時間が違います。
また、私たちの体は、常に代謝や排出をしていて、体内の物質は絶えず入れ替わっています。このことによっても体に取り込んだ放射性物質は減っていきます。たとえば、体の中に入ったセシウム137と呼ばれる放射性物質は、ずっと体の中にとどまるのではなく、子どもでは約1ヶ月、大人では約3 ヵ月でその量は半分になります。



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食べ物や飲み物にも、もともと自然の放射性物質が含まれています。土の中にも放射性物質はあり、それを植物が取り込み、さらに動物は植物を食べることで放射性物質を取り込んでいます。
植物の三大栄養素は、窒素、リン酸、カリウムですが、天然のカリウムには0.012%の放射性カリウム(放射線を出すカリウム40)が含まれています。このようなことから、私たちの体の中にも自然の放射性物質が存在しています。たとえば体重60kg の日本人の場合、カリウム40が4,000ベクレル、炭素14が2,500ベクレル、ルビジウム87が500ベクレル存在するといわれています。



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出典:(公財)原子力安全研究協会「生活環境放射線データに関する研究(1983年)」、「新版生活環境放射線(2011年)」より作成





そもそも放射線ってなに?

「放射線」とは、「放射性物質」から出る粒子や電磁波のことです。放射性物質が放射線を出す能力を「放射能」といいます。
「ベクレル」は放射能の量、すなわち、放射性物質が1秒間に何回放射線を出すかを表す単位で、食品の検査などで使われます。「グレイ」は、放射線が体にあたったときに“どのくらいのエネルギーを与えたのか”を表す単位で、放射線の体への影響を考える基本となります。
放射線による影響は、「グレイ」で表した量が同じであっても、放射線の種類※や放射線を受けた臓器・組織によって違います。そこで、がんや遺伝的な影響の起こりやすさに応じて「グレイ」で表した量に重み付けした量の単位が「シーベルト」で、放射線が「人間の健康にどれぐらいの影響を与えるのか」を表すために使われます。

※放射線には、アルファ線、ベータ線、ガンマ線などの種類があり、その種類によって影響が違います。

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放射線を出す放射性物質は、地球が誕生したときから自然界に存在しています。大地や海の中、空気の中にも放射性物質があり、宇宙からも宇宙線とよばれる放射線が飛んできています。これらの身のまわりの自然から受ける放射線(自然放射線)の量は、日本人の平均で1年間に一人あたり2.1ミリシーベルトです。これは胸のエックス線検査を1回受けたときの放射線量の40倍ほどです。

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UNSCEAR 2008年報告書 ICRP Publication 103, 2007、(公財)原子力安全研究協会 「新版生活環境放射線(2011年)」などより作成



(参考)放射線被ばくの早見表


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