福島第一事故情報
事故に関するQ&A ここが知りたい
事故に関するQA ここが知りたい
今回、野菜の出荷停止や飲料水の飲用制限を実施する根拠となった「暫定規制値」とはどのような経緯で定められたのですか。
3月17日に、厚生労働省は、東京電力(株)・福島第1原子力発電所の事故を受け、原子力安全委員会が原子力防災指針として定めた「飲食物の摂取制限に関する指標」をもとに「暫定規制値」が定められました。
3月30日には、内閣府の食品安全委員会が、この「暫定規制値」は妥当であると認めました。
更に、4月4日に厚生労働省は、この「暫定規制値」を当面変更しないことを決め、これを薬事・食品衛生審議会で諮り、了承されました。
どうして「暫定規制値」というのですか。
厚生労働省の、食品の安全基準を定めた「食品衛生法」に、放射能の検出状況に関する基準がないため、今回の事故を受けて緊急に決められた基準なので暫定規制値という名前が付いています。
この「暫定規制値」の考え方はどのようなものなのですか。
暫定規制値は、放射性物質として、①放射性ヨウ素、②放射性セシウム、③ウラン、④プルトニウム等(アルファ線を出す超ウラン元素)の4つを考えています。飲食物として①飲料水、②牛乳・乳製品、③野菜類、④穀類、⑤肉・卵・魚・その他、の5種類を対象とし、これらのすべての飲食物を1年間、毎日、飲食し続けても、健康に影響がないことを前提として決められた基準です。
具体的にはどのように決められているのですか。
具体的には、成人の場合、①飲料水は1.65リットル、②牛乳・乳製品は200グラム、③野菜類は600グラム、④穀類は300グラム⑤肉・卵・魚・その他は500グラムを、毎日1年間食べ続けた時の放射能による影響が、国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告で放射能から受ける影響があったとしても安全とされている量以下になるように決められています。(甲状腺で年間50ミリシーベルト、全身で年間5ミリシーベルト以下が基準)
暫定規制値を教えてください。
以下のような基準になっています。
放射性物質
対象食品
暫定規制値
放射性ヨウ素
飲料水、牛乳・乳製品
300ベクレル/キログラム (100ベクレル/キログラム)1歳未満の乳児
野菜類
2000ベクレル/キログラム
放射性セシウム
飲料水、牛乳・乳製品
200ベクレル/キログラム
野菜類
500ベクレル/キログラム
肉・卵・魚・その他
500ベクレル/キログラム
魚介類の放射性ヨウ素の基準はどうなっているのですか。
放射性ヨウ素の半減期は8日と短いので、魚介類には暫定規制値はありませんでしたが、茨城県北茨城市沖で4月1日にとれたイカナゴ(コウナゴ)から1キロ当たり4080ベクレルの放射性ヨウ素が検出されたことなどを受けて、厚生労働省は、4月5日に魚介類の基準を、野菜類と同じ1キロあたり2000ベクレルと定めました。
厚生労働省の薬事・食品衛生審議会は4月8日、これを了承しました。
暫定規制値以下でも心配なのですが、どのようにすれば良いのでしょうか。
暫定規制値以下であれば、1年間、毎日飲食し続けても健康に影響はありませんが、どうしても気になる場合は、表面に付着している放射性物質をできるだけ取り除くために、野菜なら洗う、皮をむく、煮る(煮汁は捨てる)などで軽減が可能と言われています。
放射性ヨウ素や放射性セシウムとはどのようなものなのですか。
放射性ヨウ素とは放射能をもつヨウ素で、ヨウ素-131(半減期8.06日)、ヨウ素-133(半減期20.8時間)が主な放射性物質です。
放射性セシウムとは放射能をもつセシウムで、セシウム-134(半減期 2.06年)、セシウム-137 (半減期30.1年)が主な放射性物質です。
このような放射性物質が体の中に取り込まれた場合、どのような影響があるのですか。
放射性ヨウ素からはベータ線、放射性セシウムからはベータ線とガンマ線が放出されます。このような放射性物質が体内にとりこまれた場合、その放射性物質が体の外へ排出されるまでの間、その近くの細胞が放射線による影響を受け続けることになります。
放射性ヨウ素は、甲状腺に蓄積されやすいため、乳児や幼児に対しては、甲状腺ガンへの配慮が必要です。
体の中に取り込まれた放射性物質はどれくらいの間、体内にとどまっているのですか。
体内にとどまっている放射性物質の量が半分になる時間を生物学的半減期と言います。
たとえば、セシウム137の場合、半減期が30.1年と長いですが、生物学的半減期は70日(注)と言われ、濃縮されずに排泄されます。
(注)Tuszynski and Dixon’s “Biomedical Applications of Introductory Physics”
自分のところの井戸水は飲んでも大丈夫ですか。また 自分のところで採れた野菜はどうすれば良いのでしょうか。
井戸水(深井戸)の場合は長い時間を掛けて濾過されますので放射能レベルは影響のないレベルになっていると考えられます。しかしながら、井戸水でも野菜でも汚染を心配される場合は、財団法人日本分析センター等で検査を受ければ安心できると思います。
洗濯物は、外に干してよいでしょうか。また雨の日に外へ出ても大丈夫でしょうか。
たとえ微量な放射能が検出されている地域であっても、現状では放射能レベルは低く、洗濯物への放射能の付着や、外出で雨に濡れても健康に影響を及ぼすレベルではありません。気になるようでしたら、頭髪、皮膚はシャワーなどで洗い流し、濡れた衣服は洗濯して、室内に干してください。
20キロメートルや30キロメートルの避難指示や屋内退避指示の根拠は何でしょうか。
「原子力防災指針」では、原子力発電所から約8〜10キロの範囲を「防災対策を重点的に充実すべき地域(EPZ)」とし、重点を置いて原子力防災に特有な対策を講じておくべき地域としています。さらに 10〜50ミリシーベルトの放射線を浴びる可能性がある場合は「屋内退避」、50ミリシーベルト以上で「避難」としています。
東京電力によると、3月21日(月)午後から22日(火)朝にかけて、発電所の敷地内でプルトニウムが検出されたそうですが、大丈夫なのでしょうか。
検出されたのは極微量であり、通常の環境にあるレベルと同じで、影響が心配される量ではありません。またプルトニウムは揮発しにくく遠くまで飛散しないので、敷地外への影響も少ないと考えられます。
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