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インタビュー
日本で学ぶ留学生に突撃インタビューしてみました!ニコラオスさん編
放射線医学の研究をされているニコラオスさん。日本との違いなどをおうかがいしてみました
大阪大学大学院工学研究科 博士後期課程
環境エネルギー工学専攻 エネルギー量子工学コース
Mr.Voulgaris Nikolaos (ヴルガリス ニコラオス)氏
-経歴-
●2019年 アテネ工科大学応用数学物理学科コース卒業(ギリシャ)
●2020年 セントラルランカシャー大学薬学部および生物医学科学部にてがん生物学コースを修了(イギリス)
●2021年~ 大阪大学大学院工学研究科博士課程に従事
ギリシャでは、どのようなことを学ばれたのでしょうか
ギリシャでは、応用物理学を専攻して学びました。ギリシャの大学は日本とは違い、5年制です。最初、応用数学と応用物理を専攻し、最終的に応用物理を専攻しました。その中で、レーザー放射による生物学的影響を選択しました。
留学先として日本を選んだ理由を教えてください
もともと日本に留学する前に、イギリスに留学していたんです。イギリスの大学院では、薬学部、および生物医学科学部で学び、さらに、がんの放射線治療を更に1年間勉強しました。
日本やギリシャでは、大学院は2年生が多いのですが、イギリスの大学院は1年で卒業できるコースもあります。ちょっとした豆知識です。そこで、更に放射線のがん治療方法を更に学習しようと思って探したところ、日本の放射線治療が発達していることを知り、日本に留学することに決めました。大阪大学は、その中で、ギリシャの日本大使館と相談して決めたという経緯です。
日本語はどのように習得したのでしょうか
もともと、近所にギリシャ人の日本語教師が住んでいて、教わりに通っていたんです。でも、勉強内容は試験向きのものが多かったので、より実践的な会話形式の訓練のために、オンラインで日本人と会話の学習をしました。
日本の学生とギリシャの学生を比較してどのような違いがありますか?
日本の学生はおとなしい印象がありますね。授業でわからないことがあっても質問しないのには、びっくりしました。
ギリシャやイギリスでは、授業が終わったら、自宅や図書館で勉強するのが一般的なのですが、日本の学生は研究室に遅くまで残って学習していますね。土日にまで学校にいて盛り上がっているのは不思議でしたが、良い雰囲気だと感じていました
ギリシャと日本でそれぞれ好きな料理を教えてください
日本の海鮮丼が好きです。生魚を食べる文化はギリシャではあまりないんです。ギリシャでも釣れたての魚に塩をふって食べることはありますが、それ以外ではほとんど食べません。
その他好きなものはありますか?
彼女と日本の観光地を巡ったり、自然を見るのが好きです。それに、漫画も好きです。私の好きな漫画は「宝石の国」という漫画です。その他にも、「ちはやふる」や「るろうに剣心」なんかも好きですね。
ギリシャのエネルギー事情を、ご自身が分かる範囲で教えていただけませんでしょうか
ギリシャは、天然ガス火力が4割、再生可能エネルギーが2割弱、亜炭※が多いんです。
しかし、昨今のウクライナ侵略の関係で、欧州はロシアからの化石燃料の輸入削減を決めたことから、ギリシャも天然ガス火力の割合を減らして、再生可能エネルギーの拡大と省エネルギーの推進を決めました。
ギリシャのエネルギーは古い家が多いため、省エネ性能が低いんです。だから、もっと省エネを進めようとしています。
※ 亜炭とは石炭の中でも、最も石炭化度が低いものをいう。地質学上の用語としては褐炭が正しいが、日本においては行政上の必要からこの語が用いられる。
日本のエネルギー事情を見てどのように感じられましたか?ギリシャのエネルギー事情と比較して教えてください
日本は、エネルギーに関する広報が非常に進んでいるように感じました。学生時代には、エネルギーについて学ぶ機会(授業)もありますし、更に知りたければ、インターネット上に、いろいろな情報が公開されています。
ギリシャでは、学生時代にエネルギー事情を学習する機会がありません。インターネット上に、一般住民を対象とした、わかりやすい情報提供はありませんでした。
また日本では、省エネ、エネルギー資源の調達など、分野が細分化されていて、それぞれの専門家が議論し政策などを決定していますが、ギリシャではそこまで発展していないのが現状です。
将来の夢はなんですか?
できれば今研究している分野に関する研究室に所属して、今後も研究をしていきたいです。もっと放射線治療を研究し、現場で働いて、もっともっと学びたいです。ギリシャに戻ったら、放射線治療の発展に貢献したいです。ギリシャではまだまだ放射線治療の文化が育っていないため、その第一人者になっていきたいですね。
最後にひとことお願いします
この場をお借りして、いつもご指導してくださっている、大阪大学の村田先生、玉置先生、日下先生、そして研究室の皆さんに感謝申し上げます。
皆さんの温かい応援が本当に励みになっています。これからもよろしくお願いいたします。