Interview
インタビュー
情報とコミュニケーションから復興を支える
藤原 カズヒロ Kazuhiro Fujiwara
株式会社 フジワラプレス
代表取締役
2021.3.1
Profile
ラジオパーソナリティやイベントの司会などマルチに活躍している。
震災直後から、ラジオ番組で福島県内のライフライン情報を発信し、その後はリスナーの方々と農業をしながら福島県の農作物の6次化PRをしてきた。その他にも、東京六本木で福島フェスを開催する実行委員としても活躍してきた。
いつもラジオ楽しく聞いています!数年前の福島同窓会は存じ上げておりましたが、カズさんが企画されたものだと初めて知りました。今はコロナがありますが、落ち着いたらまた福島のために活動してください。その時はわたしも必ず参加したいと思います。
(福島県 30代 女性 会社員)
これからも未来に繋がる取り組みを続けて欲しいです。私も子供に繋いで行けるよう話し続けていきます。
(東京都 30代 女性 会社員)
01
福島県の今を発信
震災当時は福島FMの契約社員として、4月から始まる予定だった新番組の制作に携わっていました。
その頃「6次化」という言葉が出てきた頃で、福島県の6次化産業の取り組みを紹介する予定でした。しかし、震災が起こったことにより6次化のPRどころではなくなってしまい、始まって最初の半年間は、ライフライン情報を発信する番組として携わっていました。
02
生産の喜びを伝える番組作り
ラジオ番組で農業の6次化産業をPRする立場として、まず農業について知りたいと思いました。農家の方々に相談したところ、実際にお米をつくらせていただけることになりました。そこでせっかくお米を作るならリスナーさんと一緒に米作りを体験し、収穫の喜びを共有したいと思い、農業体験の希望者を募集することにしました。
その結果100人近いリスナーさんが集まってくださいました。直接手で田植えをして、鎌で稲刈りをするアナログな農作業ですが、皆さん楽しんでいました。この農業体験は、この番組恒例の企画となり、6年続きました。
03
農業を通して知る 食材のありがたみ
僕もリスナーさんたちも食べ物に対する考え方が変わったと思います。当たり前のようにスーパーに陳列されているお米や野菜がどのような過程を経て育ち、食卓に並ぶのか知ることによって、食べ物を大切にしたいと思うようになりました。
04
福島の魅力を全国へ
震災前の話ですが、高校の同級生たちと集まる機会がありました。東京で働いている同級生たちは福島の知名度が低いことを悔しく思っているようで、いつか東京で福島の伝統や文化を取り入れたイベントを開催して盛り上げることができたらいいね、という話をしていました。
震災が起こったことにより、目的は変わってしまいましたが、NPO法人を立ち上げ、「福島フェス」というイベントを開催することにしました。最初は他のイベントの一角を借りてはじめましたが、今では東京の六本木ヒルズのイベントスペースを借りるまでの大きなイベントに成長しました。
05
福島出身者の憩いのイベントに
福島フェスをはじめたばかりの頃は、福島を応援したいと思っている人が来てくれる催事のようなイベントでした。しかし回数を重ねるうちに首都圏に住む福島県出身者たちが集まる同窓会のようなイベントに変化していきました。
福島フェスを楽しんだあと別のお店で同窓会や同級会を行うグループがいくつも現れました。毎年、福島フェスを楽しみにしてくれる人がいるので、それが嬉しくやりがいを感じます。
06
若い世代の故郷への想い
正直なところ福島が復興してきているのかどうか分かりません。復興の状況というのは人それぞれ違うと思います。
僕個人としては、震災をきっかけに、地元での就職を希望する若者や、福島のために何か役に立ちたいと考える若者が増えたと感じています。
僕の世代は、地元を出て都会へ行きたいと考える人が多かったので、そのような考え方を聞くと、とても感心しています。今の若い人たちの福島に対する想いを聞くと、復興に向かって進んでいると感じます。
07
チャンスを与える立場としての責任
震災からこれまでの10年がそうであったように、これからの10年が劇的に変わることはないと思います。福島の役に立ちたいと考える人たちがチャレンジできる福島になってほしいと思います。
僕は福島第一原子力発電所事故が起こるまで、原子力発電所は自分にとって無関係なものと考えていました。あの事故が起こり、福島にこれからも生き続ける人たちにとって悪影響を与えることになったのは、
福島第一原子力発電所の存在に無関心だった僕ら大人に責任があります。その責任を取っていかなければならないと思います。
僕自身もこの10年間で、色んな人にチャンスを貰って成長できましたし、これからの10年もいろいろな人に支えられていくと思います。これからの10年は僕も人にチャンスを与えられる人間になりたいです。
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