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地震発生
ヨウ素は「ヨード」とも呼ばれ、甲状腺ホルモンの構成成分の人体に必須のミネラルです。甲状腺ホルモンは細胞の発達や組織の成長を促したり、基礎代謝を高めてエネルギー消費量を増やしたりする機能があります。ヨウ素は海中に多く存在するため、海藻や魚に多く含まれます。
海産物を日常的に食べる日本では不足することはほとんどありません。
もし不足すると、甲状腺の肥大や甲状腺腫が起こり、成長期の子供では発育不良の原因となります。
逆に、海藻を大量に食べることによって、甲状腺機能低下症、甲状腺腫などの過剰症が起こることもあります。
1986年4月26 日のチェルノブイリ原発事故のあと、チェルノブイリ地方で小児、特に女児に多くの甲状腺がんが見られたことが報告されました。事故によって放出された放射性ヨウ素(I-131)が体内に取り込まれたことが要因とされています。
ヨウ素は呼吸や飲食によって体内に取り込まれると甲状腺に蓄積されます。また、甲状腺は蓄積できるヨウ素の量が決まっています。
このため、原子力事故においては、放射性ヨウ素(I-131)を取り込む前に、放射性ではない安定ヨウ素(I-127)で甲状腺を満たしてしまうことで、放射性ヨウ素(I-131)の摂取を抑制するという考えのもと、適時適切な安定ヨウ素剤の摂取が必要とされているのです。
また、早期の食物などの摂取制限も必要とされます。
● 放射性ヨウ素
● 安定ヨウ素剤
<安定ヨウ素剤を服用した場合>
出典:鹿児島県「原子力防災のしおり」を参考に作成
安定ヨウ素剤は万能ではありません。放射性ヨウ素(I-131)をブロックする、すなわち内部被ばくを防ぐには有効ですが、他の放射性物質には効き目がないことを理解しましょう。
摂取のタイミングが限られることも念頭においておくべきです。最も有効なのは放射性ヨウ素取り込み前の2日前から8時間後とされています。
甲状腺の機能低下をもたらす場合があるため、長期の連用は避けましょう。
医療関係者の指示に従って服用することが重要です。